宮崎駿監督がこれまでに手掛けた劇場用長編作品は、映画史に残る傑作ばかりです。まずはその歩みを公開年代順に振り返ります。
1. 『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)
映画初監督作でありながら、緻密なカーチェイスや時計塔のアクションなど、卓越した演出技術が凝縮された不朽の名作。公開当時の興行は振るわなかったものの、のちの再評価で絶大な支持を獲得しました。
2. 『風の谷のナウシカ』(1984年)
雑誌『アニメージュ』連載の風の谷のナウシカ原作漫画を自ら映画化。自然と人類の対立・共生という重厚なテーマを描き、スタジオジブリ設立の直接の契機となりました。
3. 『天空の城ラピュタ』(1986年)
スタジオジブリ初制作作品。冒険活劇の王道を突き進み、空に浮かぶ幻の城を巡る少年パズーと少女シータの躍動を圧倒的な筆致で描き切りました。
4. 『となりのトトロ』(1988年)
高畑勲監督の『火垂るの墓』と同時上映された、日本の原風景と不思議な生き物の交流を描いた傑作。今やスタジオジブリのシンボルとして世界中で愛されています。
5. 『魔女の宅急便』(1989年)
思春期の少女の自立と葛藤を描き、当時のジブリ史上最大のヒットを記録。興行的な成功により、スタジオジブリの経営基盤とアニメーターの社員化が実現しました。
6. 『紅の豚』(1992年)
自分に魔法をかけて豚となった中年パイロットのロマンを描いた異色作。宮崎監督自身の趣味性と美学が色濃く反映された大人のエンターテインメントです。
7. 『もののけ姫』(1997年)
構想16年、制作費数億円を投じて日本の歴代興行記録を塗り替えた大作。神々と人間の容赦なき戦いを通じて「生きろ」という強烈なメッセージを提示しました。
8. 『千と千尋の神隠し』(2001年)
当時の日本歴代最高興行収入を樹立し、米アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。現代っ子の少女が不思議な湯屋で働く姿を描いた金字塔です。
9. 『ハウルの動く城』(2004年)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの児童文学を原作に、自分に自信の持てない少女ソフィーと魔法使いハウルの愛と再生を描いた壮大なファンタジー。
10. 『崖の上のポニョ』(2008年)
CG全盛の時代にあえて手描きアニメーションの極限に挑み、波や海の生き物を躍動感あふれる圧倒的なビジュアルで表現した意欲作。
11. 『風立ちぬ』(2013年)
実在の航空技術者・堀越二郎と文学者・堀辰雄の人生を融合させ、戦争という時代のうねりの中で飛行機作りに情熱を注いだ男の半生を描いたドラマ。
12. 『君たちはどう生きるか』(2023年)
事前の宣伝を一切行わない異例の手法で公開され、宮崎監督の自伝的要素と内省的な幻想世界が融合した集大成的作品。自身2度目となる米アカデミー賞を受賞しました。