防衛省本省が置かれる防衛省 市ヶ谷庁舎のA棟において、陸上・航空幕僚監部とともに日本の防衛政策を形作っているのが海上幕僚監部です。一般には「海幕が直接、有事の際に艦艇へ戦闘命令を出している」と誤解されがちですが、防衛組織における海上幕僚監部の役割は明確に異なります。
自衛隊の現行法制において、実際の作戦行動や部隊の運用統制は統合幕僚監部(統幕)および常設の「統合作戦司令部」が一元的に担っています。これに対し、海上幕僚監部の本質的使命は「フォースプロバイダー(部隊の創出・練成・維持機関)」です。艦艇や航空機の調達、装備の維持整備、隊員の募集・教育訓練、そして予算要求といった基盤整備を一手に引き受け、統合運用に必要な戦力を最高の状態で供給する役割を担っています。
海上幕僚監部の内部は、組織の骨格を支える複数の部・課によって緻密に構成されています。
- 総務部:渉外、国会連絡、情報公開、広報活動、法令審査を担当する組織の窓口。
- 人事教育部:海上自衛官の採用・任免、昇任管理、教育訓練方針の策定を統括。
- 防衛部:防衛警備計画の策定、艦艇・航空機の配備計画、防衛予算要求の原案作成を担当する中枢部門。
- 指揮通信情報部:通信インフラ、サイバー防衛、情報保全体制の構築・運用管理。
- 装備体系部:イージスシステムや次世代FFM、潜水艦などの装備開発・取得戦略を主導。
- 首席衛生官・首席法務官・監察官:隊員の医療・メンタルヘルス管理、国際法務、服務規律の監査を実施。