かつて訪れた利用者のレビューや地元住民の証言を検証すると、呼子台場の湯が果たしていた役割の大きさと、抱えていたギャップが克明に見えてきます。
呼子台場の湯の口コミ・評判において、誰もが口を揃えて称賛していたのが浴室からの圧倒的な景観でした。男湯・女湯の浴槽に浸かりながら望む呼子大橋の白い斜張橋の美しさ、そして玄界灘を行き交うイカ釣り漁船や遊覧船。夕刻には水平線が茜色に染まるドラマチックな情景が広がり、「九州屈指のシーサイドパノラマ」として評価されていました。
しかし、その一方で利用者の間では設備の劣化に対する指摘も徐々に増加していました。「シャワーの出が悪い」「サウナの温度が安定しない日がある」「浴槽タイルの目地が傷んでいる」といった細かな不満は、閉館の数年前から散見されていた事実です。また、地元住民にとっては「朝市終わりに漁師や高齢者が語らう日課の社交場」であったのに対し、週末の観光ピーク時にはイカ料理店帰りの観光客で脱衣所がすし詰め状態になり、衛生管理の維持が限界に達していたという現場の声も残されています。