元々は石油探査のデータを解析するための技術だった。地質学者だったアンディ・ヒルデブランドが、音波の反射から地下の構造を読み解くアルゴリズムを応用し、声のピッチを修正するソフトを開発したのが始まりだ。1998年、シェールのヒット曲『Believe』で意図的に使われた「ロボットのような不自然なボーカル効果」は、業界に激震を与えた。失敗作とも言える極端な設定が、新しい音楽ジャンルを生み出すトリガーとなったのだ。
それから四半世紀。かつては「歌下手をごまかすためのインチキ」と揶揄された技術は、今やヒップホップ、トラップ、そしてJ-POPに至るまで、あらゆるジャンルの標準装備となっている。