現在のフォーマルシーンにおいて、母親世代から圧倒的な支持を集めているのが機能性と洗練さを両立させたスタイルです。かつて主流だったツイードジャケットと膝丈フレアスカートの組み合わせに代わり、現在ではスタイリングの多様化が進んでいます。
百貨店のアパレルバイヤーによると、大学入学式の母親向けセットアップは、ゆったりとしたシルエットのノーカラージャケットに、同素材のテーパードパンツやワイドパンツを合わせたデザインが売れ筋の中心となっています。母親のパンツスーツの評判が急速に高まった背景には、広大なキャンパス内を歩き回る実用性と、大人の女性としてのスマートな自立性を表現できる点があります。
カラー選びにおいては、知的で落ち着いた印象を与えるネイビーが依然として一番人気を誇るものの、春らしい季節感を意識したベージュ、ライトグレー、ペールブルーといった明るいトーンを選ぶ保護者も全体の約4割を占めます。インナーには柔らかな質感のとろみブラウスやレースを配したカットソーを合わせることで、ビジネスライクになりすぎず、適度な華やかさを演出できます。
装飾品に関する疑問として多く挙がるのが、大学入学式で親のコサージュは必要かという点です。近年は、大ぶりで立体的な布製コサージュを胸元につけるスタイルは減少傾向にあります。代わりとして、小ぶりな本真珠(パール)のブローチや、幾何学的なシルバー・ゴールドのピン、上質な1連・2連のパールネックレスを添える着こなしが主流です。控えめながら上質な輝きをプラスする引き算の美学が支持されています。
さらに盲点となりやすいのが手元の手荷物です。大学の入学式では、履修要項や学生生活の手引き、後援会資料など、A4サイズ以上の厚手の冊子が複数配布されます。母親のバッグ選びにおいては、フォーマル用の小ぶりなハンドバッグに加え、配布資料を折らずに収納できるシンプルな布製・レザー調の上質なA4サブバッグをあらかじめ準備しておくことがスマートな立ち居振る舞いの鍵となります。