インターネット上のコミュニティで頻繁に誤解されているのが、漏水トラブル対応の責任範囲と、水道料金改定を巡る議論の構造的背景です。
「水道メーターの先で水が漏れているのだから水道局が無償で修理に来てくれるはずだ」という思い込みは危険です。道路に埋設された配水管から水道メーターまでの敷設部分は水道局側の管理範疇となりますが、メーターから宅内側の蛇口に至る「給水装置」は建物の所有者・使用者の財産です。したがって、宅内の配管破損やトイレのタンク不具合による水漏れ修繕費は、全額自己負担となります。
ここで知っておくべき決定的な制度が「漏水による水道料金の減免措置」です。地下配管や壁面内部など、通常の使用状態では発見が著しく困難な箇所からの漏水に限り、横浜市指定給水装置工事事業者に修繕を依頼し、証明書を添えて申請することで、漏水によって跳ね上がった料金の一部が免除されます。マグネット広告などで見かける「格安修理」を謳う非指定の修理業者に依頼してしまうと、高額請求のトラブルに見舞われるだけでなく、この料金減免申請の資格すら失ってしまう事態に陥ります。
もうひとつの誤解は、料金値上げの理由に関するものです。「公営企業の無駄遣いではないか」という批判的な声がネット上で散見されますが、実情は極めて深刻なインフラ社会学の課題に根ざしています。
横浜市の水道インフラは、高度経済成長期の爆発的な人口増加に合わせて急速に拡張されました。敷設から40年以上が経過した法定耐用年数超えの鋳鉄管や耐震基準を満たさない管路が市街地に網の目のように残されており、大規模地震時の断水被害を最小限に食い止めるための耐震管への更新費用が年間数百億円単位で発生しています。節水型家電の普及や世帯あたりの使用量減少によって水道事業の給水収益が右肩下がりとなる中、安全な水を供給し続けるインフラ投資費を捻出するための料金体系見直しは、都市存続をかけた避けられない選択という側面を持っています。