BT5からBT7にかけてフライング検査を行った際によく直面するのが、「髪の毛のように細い線」や「光に透かしてようやく見える極薄線」です。この時期の反応が極めて薄い背景には、明確な医学的理由が存在します。
着床初期における血中hCG濃度は、着床完了直後には数mIU/mL程度からスタートし、順調な妊娠であれば約1.5日〜2日で倍増するペースで急激に上昇します。BT5の段階では、尿中hCGが10〜20mIU/mL前後にしか達していないことが多く、検査薬の規定感度(50mIU/mL)未満であっても、わずかな反応を拾って薄い線として表出することがあります。
BT7の段階で線が薄い場合、考えられる要因は以下の通りです。
第一に、胚の成長スピードや着床完了までの時間に半日〜1日程度の個人差(いわゆる遅延着床傾向)があるケースです。この場合、その後のhCG値が順調に伸びていけば問題なく妊娠継続に至ります。
第二に、尿の濃縮度の影響です。水分の大量摂取直後や頻尿時には尿中hCGが薄まり、着床していても線が薄く出ることがあります。
第三に、着床は成立したもののその後の発育が停止してしまう化学流産(生化学的妊娠)の経過です。化学流産の場合、フライング検査を連日続けると、BT5〜BT6頃に見られた薄い陽性線が日を追うごとに濃くなることなく、BT7〜BT9にかけて次第に薄くなり最終的に陰性化するという経緯をたどります。フライング判定においては、単日の濃淡だけでなく、同条件で継続比較した際の「グラデーションの濃縮傾向」が重要な観察要素となります。