日本におけるライフスタイルの純度を高める動きは、単なる一時の流行ではない。その美学の根底には、メディアや映像作品が長年にわたり育んできた表現の蓄積がある。
かつて暮らしの手帖社で編集長を務めた松浦弥太郎が提示した「日常を愛おしむ作法」は、多くの読者に生活を愛でる視点を与えた。また、映画『かもめ食堂』の静謐な空気感や、東北の自然とともに生きる暮らしを描いた『リトル・フォレスト』といった映像作品は、消費社会に対する美しいカウンターとして人々の心に浸透していった。これらの作品が打ち立てた映像美と世界観は、国内における日常系・スローライフジャンルの土台を確固たるものにしたのだ。