数ある喜多川歌麿の代表作の中でも、最高峰として語り継がれるのが『婦女人相十品(ふじょにんそうじゅっぽん)』シリーズの一作である『ポッピンを吹く女』です。ポッピンを吹く女の解説において注目すべきは、当時流行していたガラス製の玩具「ポッピン(ぽっぺん)」を口にくわえ、息を吹き込んで音を鳴らす瞬間を切り取った圧倒的な動態描写にあります。赤と白の市松模様の着物に身を包んだ若い町娘の、無邪気でコケティッシュな色香が見事な構図で表現されています。
もうひとつの不朽の名作が、当時の江戸で絶大な人気を誇った町娘たちを描いた『寛政の三美人』です。浅草・随身門の茶屋の看板娘「難波屋おきた」、両国・薬研堀の煎餅屋の娘「高島屋おひさ」、そして吉原の芸妓「富本豊ひな」の3人を絶妙な三角形の構図で配置。それぞれの顔立ちや髪型、佇まいの違いを描き分け、江戸庶民の熱気とスターカルチャーを見事に1枚の絵に凝縮させました。