阪急の近年の世代交代を語るうえで欠かせないのが、9000系・9300系・1000系の3形式による設計思想の違いです。外観は共通する優美なアイボリーとマルーンのツートンカラーを纏っていますが、開発された目的と投入線区の特性によって細部が大きく作り分けられています。
先行して2003年に京都線特急用として登場した9300系は、ライバルのJR西日本・新快速への対抗を強く意識した転換クロスシート車です。一方、2006年に登場した9000系は、神戸線・宝塚線の激しい通勤ラッシュを裁くため、伝統のオールロングシートを採用。さらに2013年から大量増備された1000系は、機器の標準化と徹底した省エネ・コスト低減を図った「次世代スタンダード車両」という位置づけになります。
9000系と9300系の外観上の最大の違いは車体幅の30mmの差です。京都線は旧新京阪鉄道の規格を受け継ぐため車両限界が広く、9300系は最大幅2,800mmで作られています。一方、神戸線・宝塚線はカーブやホーム限界の制約から2,770mm幅となっており、9000系はシャープで引き締まったプロポーションを持ちます。