巻き貝を家庭で調理する際、多くの人が不安を抱くのが「テトラミン」と呼ばれる神経毒の存在です。ツブ貝(エゾボラ属など)を食べる際に唾液腺の除去が必要なことは有名ですが、海つぼの場合はどうなのでしょうか。
結論から申し上げますと、海つぼの毒と唾液腺に関する心配は実質的に不要です。一般的に流通している海つぼは、分類学上「ベッコウバイ」や「エッチュウバイ(白バイ)」などのバイ科に属する小型の貝であり、人体に悪影響を及ぼす有毒な唾液腺は発達していません。そのため、後処理で何かを切り落とす必要はなく、肝を含めた内臓全体を丸ごと安心して召し上がっていただけます。
混同されがちな海つぼとバイ貝の違いについても整理しておきましょう。広義には海つぼもバイ貝の仲間ですが、市場における「本バイ貝(バイ)」は殻が厚く褐色で、より歯ごたえがしっかりしているのに対し、静岡などで「海つぼ」と呼ばれるものは殻が薄く黄色〜べっ甲色を帯びており、身質が非常に柔らかく肝に苦味が少ないのが特徴です。いずれの種類であっても、大型のツブ貝類と異なり毒抜きの下処理を要しないため、家庭でも手軽かつ安全に調理できるのが大きな魅力となっています。