熊本地震の断層破壊は益城町から北東へ進み、阿蘇カルデラの西端にまで到達しました。このことから阿蘇山の噴火活動との関連が強く懸念されました。本震発生から約半年後の2016年10月には阿蘇山の中岳第一火口で36年ぶりとなる爆発的噴火が発生しています。研究機関の解析によると、布田川断層の破壊が阿蘇カルデラ直下のマグマ溜まり周辺の地殻応力場を変化させ、マグマ内のガス抜けや火山活動の一時的な活発化を促した可能性が指摘されています。
一方で、多くの読者が懸念する南海トラフ巨大地震への影響についてはどう捉えるべきでしょうか。プレート境界型である南海トラフと、内陸地殻内地震である熊本地震は発生メカニズムが直接異なります。しかし、日本列島を東西に横断する大構造線「中央構造線」の延長線上に位置することから、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う西南日本の広域的な応力蓄積プロセスの一部であることは間違いありません。熊本地震が南海トラフの引き金を直接引いたわけではないものの、日本列島全体が地殻変動の活動期にある事実を証明しています。