事件の真相を紐解くには、当時の奄美空港における搭乗環境と地上スタッフの運用の双方を精査する必要がある。当時、同空港には搭乗橋(ボーディングブリッジ)が整っておらず、乗客は屋外のタラップ階段を利用して機内へ移動する運用が採られていた。
いわゆる奄美空港車いす搭乗拒否問題の本質は、安全規定を理由にした画一的な現場判断と、乗客の移動の自由との間で生じた決定的な摩擦にある。格安料金を武器に急成長を遂げていたLCCのオペレーション現場において、車いす利用者の搭乗支援に必要な設備や人員の配置が後回しにされていた実態が顕在化したのだった。このトラブルは瞬く間に航空業界全体へと波及し、従来の合理的配慮の定義に一石を投じる事態となった。