電話予約の受付開始日、回線はわずか数分でパンクする。食べログのレビュー欄を開けば、遠方からわざわざ新幹線を乗り継いで訪れた食客たちの驚嘆の声が並ぶ。かつて「地元客が集う隠れ家」だったこの店は、いまや全国の美食家が席を奪い合う激戦区となった。
「半年前から狙ってようやく取れた」と語るのは、都内から訪れた常連客だ。だが、なぜこれほどまでに人を惹きつけるのか。過剰な演出や奇をてらった盛り付けは一切ない。卓上に並ぶのは、素朴ながらも芯の通った料理の数々。飾らない本物が持つ圧倒的な強度が、舌の肥えた大人たちを虜にしている。