本作のプロットは、息をのむようなサスペンス・ミステリーのスピード感と、人間の孤独や業を深く掘り下げる重厚なヒューマンドラマが見事な均衡で成り立っている。物語の舞台となるのは、架空の企業城下町で起きた不可解な失踪事件。複雑に入り組んだ人間関係と、過去の暗部が解き明かされていく過程は、一瞬たりとも目が離せない。
単なる謎解きに終わらず、登場人物たちが抱える葛藤や救済のドラマが胸を打つ。脚本を担当した新進気鋭の作家は、「誰もが持つ心の影と光を描き切る」と自信を覗かせる。ミステリー好きの心を刺激する伏線回収の快感と、人間の業を描くヒューマンドラマのシナジーは、間違いなく本作最大の強みだ。