「周辺の土地相場が坪150万円のエリアなのに、なぜか坪40万円で売りに出されている土地がある」――。こうした異常な価格差の背景にあるのが、文字通り建物の建て直しが認められない再建築不可の制約です。この制限を受ける再建築不可の理由は、ほぼ例外なく建築基準法43条が定める「接道義務」を満たしていない点に帰結します。
都市計画区域および準都市計画区域内において、建物を建てる敷地は「幅員4メートル以上の建築基準法上の道路に、2メートル以上接していなければならない」と法で明確に義務付けられています。これは単なる形式的なルールではなく、火災や震災が発生した際に消防車や救急車などの緊急車両が進入し、住民が安全に避難するための防災・人命保護の観点から設けられた都市の安全基準です。
しかし、建築基準法が制定されたのは1950年(昭和25年)のことです。それ以前から家が建ち並んでいた旧市街地や、昭和30〜40年代の高度経済成長期に無秩序に開発された住宅密集地には、幅2メートル未満の細い路地(通路)の奥に位置する敷地や、他人の敷地を通らなければ公道に出られない「無道路地」、道路との接面がわずか1.5メートルしかない「旗竿地」が数多く取り残されました。これらは法制定時にすでに存在していたため「既存不適格」として現存することは黙認されているものの、ひとたび解体して更地にしてしまうと、現行法規が適用されて新しい建物の建築確認申請が一切下りないという法的拘束を受けるのです。