物語の発端は、夜の第三京浜道路。真っ赤な1968年型フォード・マスタングの助手席から、中年男・輝男(山崎努)によって放り出された17歳の少女・さち乃(浅野温子)。そこへ通りかかった19歳のバイク乗り・ゴロー(古尾谷雅人)が彼女を拾い上げる場面から、二人の奇妙な共同生活が始まります。
ゴローが暮らす福生近くのアメリカンハウスに転がり込んださち乃は、2匹の子猫「クイーン・エリザベス」とともに、気まぐれで奔放な振る舞いでゴローを翻弄します。整備工場で働きながら平凡な日常を送っていたゴローは、さち乃の野生的な魅力に溺れつつも、彼女の背後に見え隠れする中年男の影や、自分自身の将来への焦燥感に苛まれていきます。
やがて、さち乃を捨てたはずの輝男、そしてその妻であるのぶ江(倍賞美津子)が二人の生活に複雑に絡み合い、若者と大人の欲望と嫉妬が臨界点を迎えます。迎える結末において、二人は永遠の愛を誓い合うような甘いハッピーエンドには至りません。激しい衝突と別れを経て、ゴローは再びバイクを走らせ、さち乃もまた自らの足で歩き出す――。自立と喪失が同居するラストシーンは、青春の終わりを告げる残酷なまでに美しい幕切れとして観る者の胸に刻まれます。