長らく企業の自由な裁量に委ねられていた製品寿命の設定ですが、近年は計画的陳腐化の違法性を厳しく追及する法的枠組みが世界中で整備されつつあります。
先陣を切ったのはフランスです。2015年に制定されたエネルギー移行法において、世界で初めて「計画的陳腐化罪」を明文化しました。製品の寿命を意図的に短縮させた企業に対し、最高2年の禁錮刑および30万ユーロ(または年間売上高の最大5%)の罰金を科す強力な刑事罰を導入しています。さらにフランスでは製品ごとに修理のしやすさを10点満点で表示する「修理性指数(Indice de réparabilité)」の表示を義務付けました。
欧州連合(EU)全体でも、2024年に成立した包括的な「修理する権利(Right to Repair)」指令により、メーカーに対して保証期間終了後も合理的価格でのスペアパーツ提供と修理マニュアルの公開を義務付けました。さらにスマートフォンやタブレットの内蔵バッテリーについて、専用工具なしでユーザー自身が容易に交換できる設計を義務付ける規制が進められています。
アメリカにおいても、連邦取引委員会(FTC)が修理制限を行うメーカーへの取り締まりを強化し、ニューヨーク州やカリフォルニア州などで修理権法が相次いで施行されました。これを受け、かつて修理を自社直営店に囲い込んでいたテック大手も、一般ユーザー向けに純正パーツと修理マニュアルを提供するプログラムを開始するなど、ビジネスモデルの修正を余儀なくされています。