南ヶ丘牧場を訪れた人々を魅了してやまない最大の強みが、徹底した乳質へのこだわりです。日本の乳牛の99%以上は白黒模様のホルスタイン種ですが、同牧場が長年守り育てているのはイギリス領ガーンジィ島原産の「ガーンジィ牛」です。
農林水産省や酪農業界の統計によると、日本国内で飼育されているガーンジィ牛は約200頭前後に過ぎず、文字通り「幻の乳牛」と呼ばれています。ホルスタインに比べて体が小さく、1頭あたりから搾れる乳量は半分程度と採算性は高くありません。しかし、そのミルクはβカロテンや乳脂肪分、乳タンパク質が極めて豊富で、淡い黄金色を帯びていることからガーンジィゴールデンミルクと称賛されています。
この希少なミルクを惜しみなく使用した看板メニューが、各種スイーツアワードや観光客の口コミで絶大な支持を集める名物スイーツです。プレミアムソフトクリームの評判をSNSやレビューサイトで追跡すると、「これまでのソフトクリームの概念が覆る」「濃厚なのに後味が驚くほど爽やか」といった絶賛の声が並びます。卵を一切使用せず、純粋な乳のコクと香りを極限まで引き出した仕上がりは、遠方からこれを目当てに訪れるドライバーが絶えない最大の理由です。
さらに見逃せないのが、開拓の歴史を今に伝える郷土の味です。満州開拓時代にロシア人から製法を直伝されたというロシア料理のペロシキは、南ヶ丘牧場を代表する隠れた逸品。豚肉とタマネギ、春雨などの具材をもちもちのパン生地で包み、毎朝じっくりと揚げて作られるペロシキは、一般的なピロシキとは一線を画す奥深い味わいがあり、午前中に売り切れることも珍しくありません。