この対戦がこれほどまでに感情を揺さぶる理由は、ピッチに立つ選手たちのバックグラウンドにもある。モロッコ代表の主力メンバーの中には、オランダで生まれ、アヤックスやフェイエノールトなどの名門アカデミーで才能を開花させた選手が少なくない。
自らを育ててくれたフットボール文化を知り尽くした男たちが、ルーツであるモロッコのユニフォームを着てオランダと戦う。かつてのチームメイトや師弟関係が激突する構図は、選手個々のプレーに並々ならぬ情熱を注入している。パス一つ、タックル一つに込められた個人的なストーリーが、試合のドラマ性を何重にも深めているのだ。