大手食品メーカーが実施した調味料の使用実態調査(2025年〜2026年サンプリング)によると、平日の夕食作りにおいて「基本の調味料(砂糖・塩・醤油など)を個別に計量して順番通りに入れる」と回答した世帯は全体のわずか28.4%にとどまりました。これに対し、「めんつゆ、白だし、合わせ調味料をメインに使う」と答えた世帯は64.2%に達しています。
現場の調理現場に立つ料理研究家や調理師学校の講師陣は、この現状をどのように見ているのでしょうか。都内の調理専門学校で指導にあたるベテラン講師は、取材に対して次のようにリアルな感覚を打ち明けています。
「市販の合わせ調味料は、最初から塩分と糖分が絶妙なバランスで安定化されており、短時間で一定水準の美味しさを出すには極めて優秀です。しかし、豚の角煮や根菜の筑前煮のように、食材の芯まで味を浸透させつつ、雑味のない上品な風味を残したい煮込み料理を作ると、順番を守った鍋と適当に放り込んだ鍋では、仕上がりに明確な差が出ます。特に冷めたときの味の染み具合と雑味の抜け感に、隠しようのない技術の差が現れるのです」
日々の慌ただしい夕食では時短調味料を賢く活用しつつ、休日に丁寧な煮物を作る際には「さしすせそ」の物理法則に立ち返るという、ハイブリッドな付き合い方が現場感覚としての最適解になりつつあります。