自己研鑽の境界線が社会的に大きくクローズアップされた代表例が、医療従事者の労働環境です。長時間労働の是正が進む医療業界において、厚生労働省は「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方ガイドライン」を策定し、研鑽と労働の切り分けを厳格にルール化しました。
ガイドラインでは、所定労働時間外に行われる研鑽について、次の2つに厳格に分類しています。
- 労働時間に該当するケース:上司の指示による症例報告の作成、診療録の記載、病院から義務付けられたカンファレンスへの参加など。
- 自己研鑽(労働時間外)となるケース:医師自身の興味関心に基づき、業務上の指示なく行う論文執筆や学位取得のための研究、任意の学会参加など。
看護師の現場でも同様の問題が指摘されてきました。院内ラダー(看護実践能力習熟段階)取得に向けた課題作成や、勤務時間外に行われる病棟勉強会・看護研究が「自己研鑽という建前のサービス残業」になっていないか、医療機関ごとにルールの見直しと労務管理の透明化が急速に進んでいます。