SNSや大手レビューサイトには、ライブカメラを頼りに現地へ足を運んだ人々から数多くのリアルな体験談が寄せられています。そこから浮かび上がるのは、高精細な映像が広まったからこそ生じる「視覚情報の盲点」です。
大手クチコミ掲示板や登山コミュニティに投稿された声を精査すると、次のような現場の叫びが目立ちます。
「自宅を出る時にカメラを見たら快晴で穂高連峰がくっきり見えていたのに、2時間半後に河童橋へ着いたら一面のガス。山の天気は本当に読めない」(30代男性・ハイカー)
「映像では歩いている人がみんな軽装のニット程度だったため油断した。風が吹き抜ける橋の上は体感温度が氷点下近く、寒さで指先が動かなくなった」(40代女性・観光旅行)
カメラのレンズは広角設計になっていることが多く、視界全体が明るく平穏に見えがちです。また、レンズの前面に雨滴が付着していないからといって「雨が降っていない」とは限りません。微細な霧雨や稜線上での暴風は、河童橋の定点カメラからは判別が困難です。画面に見える「今」は、あくまで「その瞬間の、その狭い画角内の光景」に過ぎないというリテラシーが求められます。