何年も前のトラブルを昨日のことのように鮮明に持ち出してくる人には、認知や感情処理のプロセスにおいて特有の傾向が見られます。単に記憶力が優れているのではなく、思考パターンそのものが特定の癖に縛られているケースが目立ちます。
最大の特徴は、「物事を0か100かで捉える白黒思考(スプリッティング)」です。一度でもミスや価値観の衝突が生じると、それまでの良好な関係や積み上げてきた実績をすべてリセットし、「この人は私を裏切った敵」「重大な欠陥がある人間」と極端にラベリングします。グレーゾーンを許容できないため、過去のミスが頭の中で薄れることなく、常に現在の評価に直結してしまうのです。
また、性差や社会的役割によって蒸し返しのメカニズムが異なる点も見逃せません。一般的に、男性は「序列や勝敗の維持」を目的として論理的な優位を保つために過去のファクトを武器にする傾向がある一方、女性は感情のネットワーク記憶が発達しているため、「怒りや悲しみ」という情動のトリガーが引かれると、過去の類似した感情の記憶が数珠つなぎに連鎖して噴き出しやすいとされています。ただし、いずれの場合も「感情の整理を相手に肩代わりさせようとしている」という点では共通しています。