国内の動物園やアフリカ現地のフィールドワークにおいて、ヤマアラシの防衛行動は極めて計画的であることが観察されています。ヤマアラシの威嚇行動は、無暗に突進するのではなく、明確な段階を踏んでエスカレートします。
第1段階として、彼らは足を踏み鳴らし(スタンピング)、背中の針を扇状に広げて自身の体を本来の2倍以上に見せかけます。同時に、尾部にある特殊な中空の針を激しく打ち鳴らし、カスタネットやガラガラ蛇のような乾いた警告音を響かせます。
動物園の飼育担当者の証言によると、「この警告音の段階で人間が近づくのをやめれば突進してくることはないが、無視して踏み込むと瞬時に背後を向いて突進してくる」と語られます。バックアタックの突進力は強烈で、飼育用の頑丈な革手袋や長靴程度であれば容易に貫通する破壊力を持っています。