二人の絆が最も過酷な形で試されたのは、2004年、アテネ五輪を目前に控えていた長嶋茂雄を襲った脳梗塞だった。突然の病によって右半身麻痺と言語障害を負った夫に対し、亜希子夫人は激しい動揺を胸の奥に押し込め、過酷なリハビリ生活に寄り添い続けた。夫の尊厳を守りながら、再び立ち上がるための希望の灯を絶やさなかったのは、紛れもなく彼女の献身的な愛だった。
しかし、残酷な運命が訪れる。夫の回復を誰よりも願い、全力を尽くして支え続けた亜希子夫人自身が、2007年に心不全のため64歳の若さで急逝する。最愛の妻であり、人生最大の理解者を失った長嶋茂雄の喪失感は計り知れないものがあった。それでも彼は妻の残した誇りを胸に刻み、不屈の闘志でリハビリを継続し、再びファンの前に立ち続けた。