心臓の血液の流れと順番を完全図解!体循環と肺循環の仕組みを徹底解説

心臓の血液の流れと順番を完全図解!体循環と肺循環の仕組みを徹底解説

心臓の血液の流れと順番を完全図解!体循環と肺循環の仕組みを徹底解説の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

心臓と血管の学習において、最も多くの人が陥りやすい最大の落とし穴が「動脈には動脈血が流れ、静脈には静脈血が流れている」という思い込みです。ネット上の簡易的な解説や初学者のノートでも頻繁に混同されていますが、医学・解剖学において「血管の呼び名」と「血液の呼び名」は全く別の基準で定義されています。

血管の定義は、血流の「方向」に基づきます。心臓から出ていく血管はすべて「動脈」であり、心臓へ戻ってくる血管はすべて「静脈」と命名されています。これに対し、動脈血と静脈血の見分け方は「酸素の含有量(酸素飽和度)」によって決まります。酸素を豊富に含んだ(酸素飽和度約95〜98%)鮮紅色の血液を「動脈血」、組織で酸素を放出し二酸化炭素を多く含んだ(酸素飽和度約70〜75%)暗赤色の血液を「静脈血」と呼びます。

この2つの定義が交差する場所こそが、肺循環です。右心室から肺へと向かう「肺動脈」は、心臓から出ていく血管なので動脈と呼ばれますが、その中を流れているのは全身から回収されたばかりの酸素の乏しい「静脈血」です。逆に、肺で酸素を満載して左心房へ戻ってくる「肺静脈」は、心臓に戻る血管なので静脈と呼ばれますが、中身は極めて新鮮な「動脈血」です。この逆転現象は、資格試験や臨床実習における最頻出トラップとして知られています。

もう一つの見落とされがちな盲点が、「心臓自体のエネルギー補給ルート」です。心臓の部屋の内側には常に大量の血液が満ちていますが、心臓の分厚い筋肉(心筋)は、部屋の中を流れる血液から直接酸素や栄養素を吸収することができません。筋肉の内面は心内膜という密閉膜で覆われているためです。

そのため心臓は、大動脈の根元(大動脈弁のすぐ上にあるバルサルバ洞)から分岐する専用の血管網である「冠状動脈(冠動脈)」を通じて、自分自身の筋肉へ最優先で酸素を送り届けています。冠状動脈の血流と心筋梗塞の関係性は極めて密接であり、この冠動脈にコレステロールプラークが沈着して血流が滞ると「狭心症」、血栓で完全に閉塞して心筋組織が壊死すると「心筋梗塞」という致命的な病態を引き起こします。心臓は全身へ血液を送り出すポンプでありながら、自らが拍出した直後の最も新鮮な血液を自給自足して動いているのです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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