読者に最大の衝撃を与えたのが、漫画版『封神演義』における妲己の結末です。原典のように断罪されて命を落とすのではなく、妲己は目的をすべて達成する「物語唯一の完全な勝者」となりました。
最終決戦において、太公望(伏羲)たちによって肉体を失い精神体となった女媧に対し、妲己は自ら女媧の魂を受け入れて「女媧との融合」を果たします。彼女の目的は世界征服のような矮小なものではなく、傷ついた母なる地球と一体化し、すべての生命を包み込む「地球の母」になることでした。
太公望とのラストバトルを制する形ではなく、互いの目的を理解した上で異なる次元へと旅立つ決着は、少年漫画のライバル対決の枠を超えたカタルシスを生み出しました。最凶の敵でありながら、誰よりも地球を愛していたという多面的な幕引きは、今も語り草となっています。