おしどり夫婦として知られた片岡孝太郎と博子さんだったが、2000年代後半に入ると関係に影が差し始める。多忙を極める歌舞伎役者の生活、名門の看板を背負う重圧、そして子育てや家業を巡る価値観の相違が、少しずつ二人の間に溝を作っていったとされる。
数年間の別居生活を経て、2013年に二人の離婚が成立した。親権は父である孝太郎側が持つ形となったが、これは歌舞伎役者としての後継者育成を第一に考えた梨園ならではの判断でもあった。離婚という苦渋の決断を下しながらも、両親が千之助に対して注ぐ愛情が揺らぐことはなかった。母・博子さんは表舞台から静かに身を引いたが、その選択は息子が芸道に専念できる環境を守るための、深い親心によるものだった。