昆虫の美しさを芸術の域にまで高めた先駆者として知られるのが、17世紀のイラストレーターであり植物学者でもあるマリア・シビラ・メーリアンだ。彼女が残した歴史的なボタニカルアートは、観察眼に基づいた繊細な線で構成されている。
メーリアンの描法から学べる最大のポイントは、羽の太い骨組みである翅脈の強弱だ。翅脈の元を太く描き、先端に行くにつれて息を抜くように線を細くする。このメリハリをつけるだけで、平面的になりがちな線画が一気に奥行きを帯びてくる。アウトラインを強固にし、内部の脈を繊細に引くグラデーションのタッチこそが、時代を超えて愛されるリアルさの根源だ。