「臨時収入があった翌日に家電が壊れた」「昇進が決まった直後に体調を大きく崩した」といった経験から、「いいことの後 悪いこと 続く 理由」を探してしまう人は少なくない。実はこの現象、オカルト的な呪いではなく、認知バイアス 心理学によって明確に説明がついている。
人間の脳には、生存確率を高めるために危険や不利益などのネガティブ情報に対してポジティブ情報の約3倍〜5倍も強く注意を向ける「ネガティビティ・バイアス」が生得的に備わっている。たとえば、1日に10個の出来事があり、そのうち8個が良いことで2個が悪いことだったとしても、記憶に鮮烈に残るのは悪いことのほうである。
さらに、「いいことがあった後には悪いことが起きる」と一度信じ込むと、その仮説を補強する出来事ばかりを無意識に収集し、矛盾する事実を無視する「確証バイアス」が作動する。良いことが起きた後に平穏な日々が続いた無数の記憶は忘れ去られ、たまたま悪いことが重なった数回の記憶だけが強固に結びつけられてしまうのだ。
大手コミュニティサイトやSNS上の相談事例を分析しても、「いいこと悪いこと 交互に起きるせいで、良いことがあると次に何が起きるか不安で喜べない」という悲痛な声が散見される。この「幸福恐怖症(シェロフォビア)」とも呼べる心理状態は、自ら不安とストレスを増幅させ、注意力を散漫にさせて自滅的なミス(不運)を引き寄せる引き金になってしまう。