太陽から地球に到達する太陽光は、電磁波の一種である可視光線スペクトルで構成されています。可視光線は波長によって色が異なり、波長が約380nm(ナノメートル)の紫・青色から、約780nmの赤色まで連続的にグラデーションを形成しています。
太陽光が大気圏へ突入すると、窒素(約78%)や酸素(約21%)といった大気中の気体分子と衝突します。気体分子のサイズは可視光線の波長よりもはるかに小さく(約0.3nm)、このとき起きるのがレイリー散乱です。レイリー散乱の強度は「光の波長の4乗に反比例する」という明確な物理法則が存在します。波長が短い青い光(約450nm)は、波長が長い赤い光(約700nm)に比べて約5.9倍も強く散乱されます。
日中の太陽が頭上近くにある時間帯は、光が大気層を通過する距離が最短となります。このとき、激しく散乱された青い光が全方位から地上へ降り注ぐため、空全体が青く見えます。これが青空のレイリー散乱の仕組みです。
太陽が地平線近くまで傾く夕方には、光が大気層を斜めに通過するため、大気の厚さと光の届く距離は昼間の約10倍から30倍以上にまで激増します。青や紫といった短い波長の光は、観測者の目に届くはるか手前で散乱され尽くして減衰してしまいます。結果として、散乱されにくく直進性の高い赤い波長の光だけが障害物をくぐり抜け、私たちの網膜に届くことで鮮烈な夕焼けが形作られます。