フローライト(和名:螢石)が「天才の石」と称される理由は、その結晶構造と視覚的なヒーリング効果にある。脳の疲労を和らげ、凝り固まった思考を解きほぐすと信じられてきた歴史は極めて古い。
鉱物学の観点から見ても、この石は実にエキサイティングだ。19世紀の地質学者フリードリヒ・モースが定めたモース硬度において、フローライトは「硬度4」の基準鉱物として指定されている。ナイフの刃で容易に傷がつく柔らかさでありながら、正八面体に美しく割れる「完全な劈開(へきかい)」を持つ。この独特な物理的性質こそが、加工の難しさと標本鑑賞の美しさを両立させる理由なのだ。