成田国際空港において、ジェットスター・ジャパンやスプリング・ジャパンといった主要LCCは、コスト削減に特化した簡素な造りの「第3ターミナル」を拠点としています。そのため、旅行者の間には「成田のLCC=第3ターミナル」という強力な固定観念が根付いています。しかし、現在ピーチ成田空港第1ターミナルの運用は完全に定着しており、第3ターミナルにはピーチの発券機も預け入れカウンターも一切置かれていません。
そもそも、なぜピーチはLCC専用の第3ターミナルを離れたのでしょうか。その背景には、2019年に行われた旧バニラ・エアとの経営統合と、親会社であるANAホールディングスによる戦略的な拠点集約があります。当時発表された公式プレスリリースや航空アナリストの分析によると、成田空港第3ターミナルピーチ移転理由の核は「鉄道アクセス直結による利便性向上」と「機材およびグランドハンドリング(地上支援業務)のオペレーション効率化」にありました。
第3ターミナルは鉄道駅が存在せず、隣接する第2ターミナルから延々と続くアクセス通路を歩くか、連絡バスに乗る必要がありました。これに対し、成田空港駅に直結する第1ターミナルへ移転したことで、利用客は電車を降りてからチェックイン機までの物理的距離を劇的に短縮できる構造を手に入れたのです。しかし皮肉なことに、この「異例の好立地」こそが、LCC慣れした旅行者を惑わす最大の心理的トラップとなっています。