高速道路で重量数十キロから100キロを超える大型トラックのスペアタイヤが落下した場合、時速80〜100kmで走行する後続車にとっては回避不能の障害物となります。路面との激突で跳ね上がったタイヤがフロントガラスを突き破るケースや、乗り上げた後続車が横転・多重衝突を引き起こすケースなど、過去の事故データを見ても死亡や重傷につながる割合が極めて高いのが実態です。
脱落を引き起こす最大の原因は、スペアタイヤキャリア構造の経年劣化と固定具の緩みです。車体底部に位置するキャリアは、路面からの泥水や凍結防止剤(塩化カルシウム)に常に晒されており、金属フレームや支持チェーンの腐食が急速に進行します。外見上は問題なく見えても、内部のリンクやギアが錆び付いて肉痩せし、走行時の激震に耐え切れず破断に至るパターンが現場で多く報告されています。
さらに見過ごせないのが、整備不良や点検時の締め付け不足です。タイヤ交換や定期点検で一度脱着した際、チェーンの巻き上げが不十分であったり、安全ピンやストッパーの掛け忘れが発生したりすると、振動によって徐々にスペアタイヤの吊り下げ緩みが拡大。最終的にフックが外れて路上へ落下します。「下を覗き込んで確認しなかった」「手で揺さぶって確かめなかった」というわずかな確認の怠りが、取り返しのつかない大惨事の引き金となります。