二人の関係性を紐解くうえで決定的な起点となったのが、映画『海辺の生死』での共演である。太平洋戦争末期の加計呂麻島を舞台に、死と背中合わせの極限状態で紡がれる愛を描いた今作の現場は、息をのむような緊迫感に支配されていた。死を覚悟した特攻艇隊長と、彼を献身的に愛する女性。過酷なロケーションと重厚なテーマに向き合うなかで、二人の距離が急速に縮まったのはごく自然な帰結だった。
撮影スタッフの証言によれば、二人はカメラが回っていない時間も役に潜り込み、静かに佇む姿には既に演技を超えた情緒が漂っていたという。単なる共演者の域を越え、互いの生身の感性に深く潜航していく作業。過酷な環境で支え合い、感情を削り出しながらカメラに刻み込んだ時間は、劇中の恋愛映画以上の熱を帯びていた。