「やめたいのに、どうしても指に手が伸びてしまう」。その葛藤の裏には、個人の根性論では説明のつかない脳と神経系のメカニズムが存在する。心理学や感覚生化学の研究によれば、人は不安や退屈、あるいは強い集中状態に置かれた際、無意識に皮膚への刺激を求めることがある。
指先の皮をむく瞬間、脳内では一時的な緊張緩和と微小な快感が生じている。痛みが伴うにもかかわらず行動が強化されるのは、触覚刺激が脳の報酬系を刺激し、手軽なストレス解消のショートカットとして学習されてしまうからだ。イライラを紛らわせるための防衛反応が、知らず知らずのうちに回路化しているのである。