ネット上の言説や過激な言論空間においては、日中関係をめぐる極端な単純化がしばしば見受けられます。しかし、複雑怪奇な外交現実を正しく捉えるためには、流通するステレオタイプな誤解を排除しなければなりません。
誤解1:「中国は日本との関係を完全に断ち切ろうとしている」という嘘
ネット掲示板などでは「中国は日本製品を完全に排除し、国交断絶も辞さない構えだ」といった過激な論調が散見されます。しかし、現実はまったく異なります。中国共産党指導部は、アメリカによる先端半導体規制包囲網を打破するための「最大の突破口」として日本を位置づけています。日本の素材・製造装置産業の圧倒的な技術力を喉から手が出るほど欲しており、水面下では日本企業向けのビザ緩和や投資促進フォーラムを頻繁に開催するなど、経済的な引き込み工作を執拗に続けています。
誤解2:「日本はアメリカの言いなりで対中強硬論を唱えているだけ」という誤認
欧州の一部リベラルメディアや国内の一部言論には、日本を「米国の地政学的戦略の従属物」と見なす論調が存在します。しかし、実態は逆です。日本はG7加盟国のなかで唯一アジアに位置し、中国と海を隔てて直接対峙している当事国です。日本政府は独自の情報収集能力と現場の危機感に基づき、むしろ米国に対してインド太平洋構想(FOIP)の重要性を説き、G7全体を「経済的威圧への対抗」へと主導してきた経緯があります。