再審請求の最前線に立ち続けるのは、数々の難事件で知られる弁護士の安田好弘だ。和歌山地方裁判所に申し立てられた度重なる再審請求を巡り、弁護団は検察側が未開示のまま抱え込んでいる証拠の全面開示を強く迫っている。かつて最高裁判所が上告を棄却した際、裁判長自身が状況証拠のみによる認定の危うさに言及しつつも結論を維持したという経緯がある。この「有罪の確信」に潜む瑕疵を突く作業は、司法の威信そのものとの対峙に他ならない。
日本弁護士連合会(日弁連)もまた、再審法改正の必要性を訴える文脈において、本事件の証拠開示の不透明さを重大なモデルケースとして注視している。日本の刑事司法が抱える「開示されない証拠」の闇。自白のない事件で死刑を維持することの論理的限界に対し、法曹界の内部からも静かな疑問符が投げかけられている。