夜の街の胃袋を満たす選択肢といえば、長年ラーメンが不動の王座に君臨していた。だがいま、その勢力図が根底から覆りつつある。深夜営業を軸に据えた店舗の台頭は、長引く原材料費高騰に喘ぐ日本の外食産業において、極めて特異な勝因を生み出した。
仕込みに丸一日以上を費やす重層的なスープは、アルコールで麻痺した舌を鮮烈に覚醒させる。単なるご当地グルメの枠に収まらず、深夜の健康志向や「罪悪感の少ない夜食」という現代人の心理にも見事に合致した。終電を逃したサラリーマンとクラビング帰りの若者が肩を並べ、土鍋から立ち上る蒸気に向き合う光景は、すすきのの新しい原風景だ。