「卵」と「玉子」の違いとは?生と調理後だけではない使い分けの真相

「卵」と「玉子」の違いとは?生と調理後だけではない使い分けの真相

「卵」と「玉子」の違いとは?生と調理後だけではない使い分けの真相について見逃せない 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

そもそも、なぜ日本人はひとつの食材に対して「卵」と「玉子」という2つの漢字を使い分けるようになったのでしょうか。その源流を探ると、卵と玉子の由来と真相は室町時代後期から江戸時代の食文化革命に行き当たります。

古代の日本では、鳥の産むたまごは「かいご(卵)」と呼ばれていました。やがて球形の形状から「たまご(玉の子)」という大和言葉が定着します。しかし、中世までは仏教の不殺生戒や神道の穢れ忌避により、ニワトリの卵を大々的に食べる習慣は一般的ではありませんでした。

風向きが変わったのは安土桃山時代、南蛮貿易によって「カステラ」などの南蛮菓子が伝来したことです。さらに江戸時代に入ると養鶏技術が発達し、卵は都市部の庶民にとって手の届く滋養強壮の食材となりました。寛永20年(1643年)に刊行された日本最古の料理書の一つ『料理物語』や、天明5年(1785年)に大ベストセラーとなった『万宝料理秘密箱』(通称「卵百珍」)などの文献を検証すると、当時の知識人や料理人たちが工夫を凝らした記録が残されています。

当時、卵は非常に高価な贅沢品であり、武士や豪商が珍重するごちそうでした。そのため、単なる生物の抜け殻を想起させる無骨な「卵」よりも、宝玉のように丸く愛らしく、艶やかな姿を讃えて「玉子」という瑞祥(めでたい)の漢字を好んで当てたのです。江戸の町人文化が生んだ「粋」と「もてなし」の精神が、料理としての「玉子」を定着させた歴史の真実です。

森 瞳
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森 瞳

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