ミュージアムのエントランスを抜けて2階展示室へ足を踏み入れると、そこには昭和30〜40年代の瀬戸の街並みを原寸大に近いスケールで再現した巨大ジオラマ空間が広がります。焼き窯の煙突が立ち並び、陶土の匂いが漂ってきそうなノスタルジックな世界観は、訪れる人々を一瞬でタイムスリップさせます。
その中心に鎮座するのが、かつて瀬戸と名古屋(栄町)を結び、地元住民から「せとでん」の愛称で親しまれた名鉄モ750形電車の実物展示です。旧尾張瀬戸駅の木造駅舎とともに保存されており、実際に車内へ乗り込むことも可能です。緑色のモケットシートや木張りの床、レトロな運転席の質感は、鉄道ファンのみならず子どもたちにとっても格好の体験スポットとなっています。
さらに見逃せないのが、やきものづくりの心臓部であった「モロ(窯屋の作業場)」や、石炭窯・煙突のリアルな復元展示です。職人たちがロクロを回し、窯に製品を詰め込んでいた当時の息遣いが、細部の小道具に至るまで精密に表現されています。
3階へ上がると雰囲気が一変し、古墳時代の須恵器から現代のファインセラミックスに至る「瀬戸焼の千年史」を体系的に学べる本格的な歴史展示エリアが展開します。平安・鎌倉期の古瀬戸の名品から、明治以降に欧米へ輸出されて世界を驚かせた精緻なノベルティ(陶磁器人形)まで、質量ともに圧倒的なコレクションが並びます。