首都圏などの大都市圏では長年「桃=手で皮がつるんと剥ける柔らかいもの」という固定観念が根強くありました。しかし、山梨県や長野県、福島県といった一大産地では、古くから「採れたての硬い桃を皮ごとリンゴのように丸かじりする」食べ方が日常であり、至高の美味とされてきました。
近年、物流網の進化と産直通販の普及によって、この「硬い桃が好まれる理由と食感の魅力」が全国へと急速に浸透しています。川中島白桃の果肉に含まれるペクチンは水溶化しにくく、果肉細胞がびっしりと詰まっています。そのため、収穫直後の実はシャキシャキ、あるいはカリッとした心地よい歯ざわりを持ちます。
硬い桃を支持する愛好家が口を揃えるのは、「噛み締めた瞬間に奥から染み出す濃厚な甘み」の虜になるという点です。柔らかい桃のように果汁が一気に流れ出るのではなく、租借するごとに繊維の中から高濃度の果汁がじわじわと溢れ出し、桃本来の香りが鼻腔を抜けます。また、切り分けた後も実が崩れにくく、タルトやパフェ、カルパッチョなどの料理にも美しく映える機能美も、近年のフードトレンドと合致しています。