満腹であるにもかかわらず何かを口に運びたくなる現象は、脳神経科学において「エモーショナル・イーティング(感情的摂食)」と呼ばれる。身体がエネルギーを欲しているのではなく、孤独感、仕事のプレッシャー、あるいは日常の退屈といった感情の揺らぎを麻痺させるために、脳が「食べる」という行為を誤用している状態だ。
鍵を握るのは、快楽物質として知られる神経伝達物質のドーパミンだ。高カロリーな脂質や精製糖を口に含んだ瞬間、脳内の報酬系回路は激しくスパークする。この快感の記憶はあまりにも強烈で、脳はストレスを感じるたびに手っ取り早い精神安定剤としてジャンクフードの摂取を要求するようになる。つまり、胃袋が満たされていても、脳の報酬系は飢餓状態のまま暴走を続けているのだ。