NIGOの本名は長尾智明(ながお ともあき)。彼がファッション業界に足を踏み入れた当時、カルチャーシーンの頂点に君臨していたのが藤原ヒロシでした。文化服装学院に通いながらクラブカルチャーに没頭していた長尾青年は、原宿の伝説的なセレクトショップ「A STORE ROBOT(ア・ストア・ロボット)」に足繁く通っていました。
ある日、同店の名物店長であった高橋一郎が、店にやってきた長尾の顔立ちや雰囲気を眺め、「おい、藤原ヒロシ君にそっくりなやつがいるぞ。お前は今日から『藤原ヒロシ2号』だ」と口にしたのがすべての始まりでした。これが短縮され、世界的なブランドネームとなる「NIGO」が誕生したのです。
当時の藤原ヒロシは、ロンドンやニューヨークのパンク、ヒップホップ、スケートボードカルチャーを日本に初めて体系的に持ち込んだカリスマでした。自身に憧れ、アシスタントのように周囲へ付いて回る若きNIGOに対し、藤原もまた目をかけ、雑誌『宝島』の連載「LAST ORGY」の企画やDJ活動の現場に同行させるなど、実践的なカルチャーの帝王学を授けていきました。