水森かおりのキャリアを振り返ると、『鳥取砂丘』の大ヒットによるブレイク以降、彼女の楽曲は時代ごとに明確な進化を遂げてきました。初期から中期にかけての王道を行く「旅情・哀愁・一途な女心」から、近年はより力強い人生賛歌やダイナミックなスケール感を持つ楽曲へとレパートリーを広げています。
特に前作『三陸挽歌』で見せた激しい波しぶきを思わせるアプローチは、彼女のボーカルが持つ声量と表現力の幅広さを改めて世に知らしめました。そして今回の新曲では、その獲得した力強さを土台にしつつ、再び繊細な心のひだを丁寧に撫でるような歌唱法へと回帰しています。この「剛」から「柔」への見事なシフトチェンジは、ベテランの円熟味を感じさせるに十分です。
年末の『NHK紅白歌合戦』における連続出場記録の更新はもちろん、ステージ上でどのような世界観を再現してくれるのか、選曲と演出の行方に今から業界内の期待が高まっています。