兼六園の雪吊りを語る上で欠かせないのが、庭師たちに受け継がれる卓越した「縄張り技術」です。雪吊りにはいくつかの手法がありますが、唐崎松に用いられるのは最も格式高く豪壮な「りんご吊り」と呼ばれる技法です。
唐崎松の雪吊りでは、幹の根元に芯柱(しんばしら)となる太い丸太を立て、先端から放射状に約800本もの荒縄を張り巡らせます。職人たちは高所にある芯柱の頂上に登り、手際よく縄を投げ下ろして下の庭師と息を合わせながら均等な張力で枝を結び留めていきます。縄の交差角度や張りの美しさは寸分の狂いもなく調整されており、厳しい寒風に耐えうる強度と均整の取れた円錐美が生み出されます。