インターネット上の掲示板やSNSでは、「年収700万の女性はプライドが高くて婚活で敬遠される」「男が引いてしまう」といった言説がまことしやかに飛び交います。しかし、大手結婚相談所の成婚アドバイザーへの取材や現場の実態調査を行うと、その噂の裏にある「構造的なズレ」が見えてきます。
結論から言えば、「女性が高年収だから」という理由だけで男性から敬遠される事例は、現代の婚活市場において少数派です。共働きが絶対的な前提となった昨今、経済的に自立し、家計を折半できるパートナーは、むしろ現実的な生活設計を重視する良質な男性層から極めて高く評価されています。特に年収800万〜1,200万円クラスの同世代ビジネスパーソンにとって、知的な会話が成立し、世帯年収1,500万円超の「パワーカップル」を形成できる高年収女性は魅力的な候補です。
では、なぜ「婚活が難航する」という言説が定着しているのでしょうか。取材によって浮き彫りになったのは、以下の3つのリアルな壁です。
第1に、女性側の希望条件による「マッチング母数の極小化」です。自身が700万円を稼いでいると、無意識のうちに「相手の年収は自分と同等かそれ以上(700万〜800万円以上)」を最低条件に据えがちです。しかし、国税庁の統計が示す通り、30代男性で年収700万円を超える割合は1割強に過ぎません。そのわずかなパイを、20代から30代までの幅広い層の女性が奪い合う構図となるため、必然的にお見合い成立の難易度が跳ね上がります。
第2に、昭和的な性別役割分担意識を引きずる男性層とのミスマッチです。男性自身が「男が一家を養うべき」「妻には家庭に入って家事を完璧にこなしてほしい」という旧来の規範に囚われている場合、多忙で自立した高年収女性に対して劣等感や威圧感を抱き、敬遠する行動を取ります。
第3に、当事者の生活リズムと「心理的余白」の欠如です。700万円クラスの職責を担う女性は平日の帰宅が遅く、休日も疲労回復や業務キャッチアップに追われがちです。知恵袋や女性向けコミュニティの手記にも「平日にLINEのやり取りをマメにする余裕がない」「休日のデート日程調整だけで疲弊してしまう」という告白が多く見受けられます。敬遠されているのではなく、関係性を深めるための時間的・感情的なリソースを割けないことが、婚活を長期化させる最大のボトルネックとなっています。