ベースの演奏において、弦の高さがプレイヤーの指先に与える物理的負荷はギターの比ではありません。太いゲージと強いテンションを持つベース弦において、ベース弦高高すぎる弾きにくい原因の約8割は、木材の湿気吸収や弦張力に負けたことによるネックの順反りにあります。ネックが弓なりに反り返ると、指板中央からハイポジションにかけて弦とフレットの距離が極端に広がり、押弦に過度な握力が必要となります。その結果、左手の腱鞘炎を引き起こしたり、速いパッセージでの指の追従性が致命的に落ちたりします。
一方で、弾きやすさだけを求めて極端に弦高を下げた際に直面するのが、ベース弦高低すぎるビビり理由です。ベースの弦は振動する際、中央部が大きく膨らむ楕円形の振幅軌道を描きます。弦高を下げすぎると、振動した弦が隣接するフレットの頂点に物理的に接触し、金属的な異音(バズ音)やサステインの急激な減衰を招きます。適正な弦高とは、単に指が楽な位置ではなく、「弦の自然な振幅スペース」と「押弦のエネルギー効率」が最も調和する接点に他なりません。