手つかずの自然が脚光を浴びる一方で、観光客の急増はゴミのポイ捨てや植生の踏み荒らし、違法駐車といった観光公害(オーバーツーリズム)の影も落としている。日光国立公園の特別地域にも指定されているこの脆弱な生態系をいかにして守るか。いま、地域社会は大きな転換点に立っている。
現在、環境省や地元自治体、民間事業者が連携し、単なる集客から「ネイチャーツーリズム」や持続可能な「エコツーリズム」へのシフトを急ピッチで進めている。持ち込んだゴミの完全持ち帰りはもちろんのこと、生態系への負荷を最小限に抑える「リーブ・ノー・トレース(痕跡を残さない)」の啓発キャンペーンが現場で展開されている。地元の観光業を担う事業者たちも、使い捨てプラスチックの持ち込み抑制や、人数を限定した有料ガイドツアーの導入など、質の高い体験と自然保護を両立させる新たな仕組みづくりに乗り出した。美しさを消費し尽くすのではなく、次世代へ手つかずのまま引き継ぐための知恵が試されている。